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福岡でセミナーを開催した理由 【後編】──「いい場所をつくれば伝わる」ではなかった。

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福岡天神大名店で僕たちが気づいたこと。

前編では、THE SALONS福岡天神大名店で開催した独立・経営セミナーについて書きました。

日本政策金融公庫には資金調達と創業計画について、
HOT PEPPER Beautyには集客とマーケティングについて、
そして最後に僕から独立後の経営について話しました。

反響はとても良かったです。

事前に参加申込をいただいていた方の中には、当日来られなかった方もいました。

少し残念ではありましたが、美容師はお客様があってこその仕事です。

きっと予約が入ったんだと思います。

それでいいと思っています。

今回大切だったのは、一度セミナーを開催することではなく、

なぜ僕たちが福岡でこういうセミナーをやる必要があったのか。

そこでした。

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福岡天神大名店は、想定より苦戦しています。

隠しても仕方がないので、正直に書きます。

THE SALONS福岡天神大名店のサロン契約は、当初想定していたより苦戦しています。

新築ビルで、天神からも近く、完全個室。

大きな内装投資をしなくても、自分の店舗として営業を始めることができます。

法人契約であれば法人の事業拠点として使うこともできる。

僕たちなりに、かなり良い環境を作ったつもりでした。

さらに、東京ではTHE SALONSの店舗はほぼ満室に近い状態で、大阪でも一定の評価をいただいています。

だから僕の中には、

「福岡でもTHE SALONSはある程度知られているだろう」

という思いがありました。

東京や大阪で評価されてきた仕組みなら、福岡でも分かってもらえる。

認知度もそれなりにある。

正直、そう思っていました。

でも実際は違いました。

東京で積み上げた実績が、そのまま福岡で信用になるわけではない。

大阪で評価されていることが、福岡の美容師さんにとってTHE SALONSを選ぶ理由になるわけでもない。


ブランドの信用は、地域ごとに作っていかなければいけない。

当たり前のことですが、僕たちはそこを少し甘く見ていたと思います。

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「新築」「完全個室」だけでは響かなかった。

僕たちは最初、

新築であることや、立地の良さ、完全個室であること、独立した店舗として使えることをしっかり伝えれば、魅力は理解してもらえると思っていました。

でも福岡で実際に話をしてみると、

美容師やビューティシャンが本当に不安に感じているのは、そこではなかった。

  • 本当にお客様が来るのか。
  • 今の収入を維持できるのか。
  • 家賃を払い続けられるのか。
  • 経営経験がなくてもやっていけるのか。
  • もし独立してダメだったら、戻れるのか。

こういう不安の方が、ずっと大きかったんです。

「法人登記できます」

「行政上もきちんと店舗として営業できます」

僕たちにとっては、とても重要なことです。

でも独立をまだ経験していない人からすれば、それより前に、

「自分にも本当に経営できるのか」

という不安がある。

ここを理解しないまま、スペックの説明ばかりしても届かない。

今回、それをかなり痛感しました。

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僕自身にも、少し驕りがあったと思います。

僕は現役美容師です。

自分自身も独立して、美容室を経営してきました。

だからどこかで、

「美容師が作っている仕組みだから、同じ美容師なら分かってくれるだろう」

と思っていたところがありました。

THE SALONSが目指しているのは、単に個室を借りて働くことではありません。

自分の屋号で営業し、自分で価格を決め、自分の売上を管理して、自分で経営判断をしていく。

THE SALONSの資料でも、大きな内装投資を抑えながら、自分の屋号・メニュー・価格・集客を自分で決め、経営の実績を作っていく考え方を伝えています。

そして、THE SALONSにずっと残ってもらうことが目的ではありません。

一人で長く続けてもいい。

チームを作ってもいい。

路面店に出たくなったら卒業してもいい。

自分の目的に合わせて次のステージを選べることを大切にしています。

僕たちはこれを「自助自立」と考えています。

大きな資本や一つのシステムに依存するのではなく、自分の事業を自分で理解して、自分で経営できる人を増やしたい。

その考え方はずっと変わっていません。

ただ、

良い思想を持っていれば、勝手に伝わるわけではない。

そこに僕の驕りがあったと思います。

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福岡では、独立そのもののハードルが高かった。

福岡でいろいろな美容師さんと話して感じたのは、東京とは少し働き方の環境が違うということです。

雇用で働いている美容師さんも多く、今のサロンでお客様を担当しながら、安定した収入を得ている人も多い。

その状態から、いきなり自分で家賃を払い、広告を考え、数字を管理し、契約まで理解する経営者になる。

怖くないわけがありません。

しかも今は、独立を取り巻く環境も以前とは違います。

内装費も上がり、材料費も上がり、賃料も金利も上がっています。

これまでのブログでも書いてきましたが、今は「何となく自分のお店を持ちたい」というだけで大きな借入をするには、かなりリスクが高い時代です。

だからこそTHE SALONSのように、大きな投資をせず、小さく始めて経営経験を積む選択肢には意味があると思っています。


でも、その意味を僕たちは福岡で十分に伝え切れていなかった。

「独立できますよ」と言うだけでは足りなかったんです。

必要だったのは、

独立した後までイメージしてもらうこと。

資金調達について分からなければ公庫と話せる。

集客が不安ならHOT PEPPER Beautyのデータや担当者から学べる。

契約や経営が分からなければ僕たちも一緒に考える。

独立する人に必要だったのは、物件の説明より、こういう安心材料だったんだと思います。

だから今回、公庫とリクルートにも協力いただいてセミナーを開催しました。

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僕たちが福岡でやりたいのは、満室にすることだけではありません。

もちろん事業なので、満室にしたいです。

これは普通にそうです。

でも、それだけなら僕自身がここまで美容師の独立についてブログを書く必要もないと思っています。

THE SALONSで独立した人が、きちんと利益を残せるようになる。

金融機関と普通に話ができるようになる。

自分の契約や数字を理解し、自分で経営判断ができるようになる。

そして、もっと大きな挑戦をしたくなったら、次の店舗へ進んでいく。

そんな美容師やビューティシャンが福岡から増えてほしい。

独立したものの数年で閉店し、借金だけが残る人を増やしたいわけではありません。


せっかく大好きな美容の仕事で独立するなら、長く続けてほしい。

利益も残してほしい。

家族との時間も持ってほしい。

そして社会からも、きちんと一人の経営者として信用される存在になってほしい。

それが増えていけば、美容業界そのものも少しずつ強くなっていくと思っています。


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福岡天神大名店が苦戦していることは、僕たちにとって良い結果ではありません。


でも、その分大きな学びがありました。

「いい場所をつくれば伝わる」ではなかった。

東京や大阪で評価されていることに甘えてもいけない。

僕自身が美容師だからといって、自然に信用してもらえるわけでもない。

福岡では、福岡で信用を積み上げるしかありません。

これからは物件の良さだけを伝えるのではなく、その人が独立した後、どうやって経営を続けていくのかまで一緒に考えていきたいと思っています。

THE SALONSを信用して独立してくれた人が、数年後に、

「あの時、独立して良かった」

と思えること。

そして、その人たちの中から、簡単には潰れない、社会でも強い経営者が増えていくこと。

僕たちが福岡で本当に作りたいのは、満室の店舗ではなく、

そういう美容師・ビューティシャンが増えていく環境です。

まだTHE SALONSも成長途中です。

今回の福岡で、僕自身もまだまだ勉強しなければいけないと思いました。

でも、ここは諦めずにやります。

自分たちの美容業界を、自分たちの力でもっと良くするために。

福岡でも、ゼロから信用を積み上げていきたいと思っています。

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THE SALONS Japan株式会社
代表取締役/現役美容師/宅地建物取引士
清水 秀仁

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