大好きな美容師という仕事を、大好きなまま続けていくために。【前編】
Salons Blog
こんにちは。
THE SALONS Japan代表の清水です。
これまでこのブログでは、
- 美容師の独立とは何か。
- シェアサロンと店舗経営の違い。
- 路面店出店のリスク。
- 金融機関との付き合い方。
- PL・BSやキャッシュの考え方。
- 不動産契約を理解することの大切さ。
そんな、美容師が「技術者」から「事業者」になっていく過程で知っておいてほしいことを書いてきました。
少し難しい話や、耳が痛い話も多かったと思います。
でも、僕がこういうことを書いている理由はすごくシンプルです。
大好きな美容師という仕事を、大好きなまま続けてほしいから。
美容師という仕事が好きで、
お客様と向き合う時間が何より楽しくて、
「この仕事をずっと続けていきたい」と思っている方へ。
僕自身、長く美容師として現場に立ち、美容室を経営してきました。
美容師という仕事は、
本当に素晴らしい仕事だと思っています。
自分の技術で目の前の人を笑顔にできる。
「ありがとう」と言ってもらえる。
何年、何十年とお客様の人生に寄り添うことができる。
そんな仕事は、なかなかありません。
だからこそ僕は、美容師人生にもっと彩りを。大好きな仕事を、大好きなまま続けてほしい。と思っています。
独立は、そのための一つの選択肢です。
でも、独立すること自体が目的になってしまってはいけないとも思っています。
ここ、美容業界では結構ありがちです。
「独立しました!」
「自分の店を持ちました!」
「オーナーになりました!」
SNSではキラキラします。
でも、その翌月から返済と固定費に追われて、休めない、辞められない、売上を落とせない。
それ、本当に自由になったと言えるのか。
僕はそこを一度考えてほしいと思っています。
僕が一番考えてほしいのは、「独立した後」のこと
自分のお店を持つ。
美容師なら、一度はそんな未来を想像したことがあるかもしれません。
好きな空間をつくって、好きなお客様を迎えて、自分らしい美容室をつくる。
とても素敵なことです。
一方で、これまでのブログでも書いてきたように、
独立にはかなり現実的なお金と契約の問題があります。
スケルトンの物件を借りれば、保証金や物件取得費だけでなく、内装工事、給排水、電気、空調、シャンプー設備、什器など、営業を始める前から大きな費用が必要になります。
何百万円、場合によっては何千万円。
自己資金だけで足りなければ借入をして、ようやくお店が完成する。
そしてオープンしたその日から、家賃と一緒に借入金の返済が始まります。
独立前は、
「自由になりたい」
「好きな働き方をしたい」
「自分らしい店をつくりたい」
と言っていたのに、
独立後は、
「今月の返済が…」
「家賃が…」
「売上落とせない…」
となる。
自由を買うために独立したはずが、借金という名の新しい上司ができている。
これでは本末転倒です。
以前、金融機関やPL・BSについて書いたのも、まさにこの部分です。
売上があることと、
自由であることは同じではありません。
SNSで月商を書いていても、通帳にお金がなければ意味がない。
月商300万円より、手元に残る50万円の方がよほど強い。
でも美容業界は、なぜか「売上」の数字だけは大声で言いたがります。
利益とキャッシュは急に小声になります(笑)。
僕は、そんな独立だけが正解だとは思っていません。
お店を持つために人生を縛るのではなく、
人生を豊かにするために、自分のお店を持ってほしい。
それが僕の考えです。
美容師に知ってほしい「売上の流れ」の話
ここは少し踏み込んだ話をします。
最近のシェアサロンや独立支援型サービスの中には、
キャッシュレス決済やクレジットカード決済を、まず運営会社側の決済システムで受ける仕組みがあります。
美容師がお客様を集客して、
美容師が施術をして、
美容師がつくった売上なのに、
決済の流れとしては、一度運営会社側を経由する。
そこから契約上の利用料や手数料などが差し引かれ、後日美容師側へ入金される。
こうした仕組み自体が直ちに悪いと言っているわけではありません。
決済を一括管理できる。
カード端末を自分で用意しなくていい。
売上管理が楽になる。
メリットも当然あります。
ただ、僕が問題だと思うのは、
美容師本人が、そのお金がどういう契約関係で動いているのかを理解していないケースが多いことです。
「自分の売上だから、自分の口座にそのまま入っている」
と思っていたら、実際には違う仕組みだった。
- 誰が決済主体なのか。
- 誰の売上として扱われる契約なのか。
- 売上金はいつ自分のものになるのか。
- 何が差し引かれるのか。
- 入金まで何日かかるのか。
ここまで読んで契約している美容師が、一体どれくらいいるでしょうか。
美容業界では、
「売上○○万円!」
「還元率○%!」
という数字は大きく書かれます。
でも、その売上がどんな経路を通って自分の口座に入るのかは、意外と小さくしか見られていません。
僕はここに、美容業界特有の危うさを感じています。
還元率の1%にはものすごく敏感なのに、
数百万円の売上金がどこの口座を経由しているかには無頓着。
ちょっと不思議です(笑)。
独立するということは、本来、
自分で売上をつくり、
自分で契約をし、
自分でお金を管理することでもあります。
それなのに、
集客は自分。
施術も自分。
顧客も自分。
でも、お金の流れだけはよく分からない。
それでは、本当の意味で「経営者になった」と言えるのか。
僕はそう思います。
もちろん、どの仕組みを選ぶかは自由です。
便利なサービスを使うこと自体を否定するつもりもありません。
ただし、
便利さと引き換えに、何を預けているのか。
そこだけは理解してほしい。
売上管理なのか。
決済権限なのか。
顧客情報なのか。
契約上の自由なのか。
「みんな使っているから大丈夫」ではなく、契約書を読む。
これも経営です。
独立した瞬間から、美容師は技術者であると同時に事業者になります。
ハサミの持ち方だけではなく、
自分のお金がどこを通って、自分の口座に入ってくるのかくらいは知っておいた方がいい。
少し厳しい言い方ですが、
自分でつくった売上の流れすら理解していない状態で、
「自由な独立です」
と言われても、僕には少し違和感があります。
だからTHE SALONSでは、
できる限り美容師自身が自分の事業を理解し、
自分で経営判断できる環境を大切にしています。
独立とは、場所を借りることではありません。
自分の売上、自分の契約、自分の人生を、
自分で理解して選べるようになること。
僕は、それが本当の独立だと思っています。
次回は、THE SALONSをなぜ「坪単価」だけで見てほしくないのか。
そして、独立後の人生まで含めて僕が考えている「自由」について書きます。
【後編】につづく
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THE SALONS Japan株式会社
代表取締役/現役美容師/宅地建物取引士
清水 秀仁