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美容師の独立、『なんとなく』で店を出せる時代は終わった。【前編】──金利爆上がり時代に知っておきたい「見えないコスト」の話

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借金の金利は気にするのに、「契約の実質コスト」を計算しないのはなぜ?

こんにちは。
THE SALONS Japan代表の清水です。

今回は、美容師やビューティシャンの独立と「お金」の話です。

最近、独立を考えている美容師さんやアイリスト、ネイリスト、エステティシャンなどと話していると、5年前とは明らかに状況が変わったと感じます。

一番大きいのが、金利です。


少し前まで、

「公庫で借りれば金利はかなり低い」

そんな感覚が美容業界にはありました。

実際、5年ほど前のコロナ禍には、一定の条件を満たせば、日本政策金融公庫の特別貸付と利子補給制度を組み合わせて、当初3年間を実質無利子にできる制度までありました。

ところが今は違います。

今は、融資条件や制度によって金利は異なるものの、公庫でも4%前後の金利を現実的に想定して資金計画を組む必要がある時代になっています。

つまり、

「とりあえず長く借りておけばいい」という感覚では危ない。

美容師もビューティシャンも、今は金利まで理解して独立を考えた方がいいと思っています。



1,500万円を年利4%で借りたら、実際どうなるのか?

例えばサロンをつくるために、

1,500万円を年利4.0%、元金均等返済で借りたとします。

7年返済の場合

月々の返済は、

約22.9万円からスタートして、最後は約17.9万円。

支払う利息の総額は、

約212.5万円。

5年返済の場合

月々約30万円からスタートして、最後は約25.1万円。

利息総額は、

約152.5万円。

つまり、

7年から5年に短縮するだけで、約60万円、利息が減ります

その代わり、毎月の返済負担はスタート時で約7万円増える。

どちらが正解という話ではありません。

キャッシュを厚く残したいなら7年。

毎月7万円程度を無理なく吸収できる利益があるなら5年。

経営状況によって答えは変わります。

ただ重要なのは、

「何年間借りてもそんなに変わらない」という感覚は、もう危ない。

ということです。



5年前とは、借金の意味が変わってきている

5年前の低金利時代は、金利1%台の融資も珍しくなく、コロナ関連では条件次第で実質無利子となる制度もありました。

その頃は返済期間を2年延ばしても、利息負担の差はそこまで大きくありませんでした。

だから、

「月の返済額を減らすために長く借りる」

という考え方にも合理性があった。

でも、4%前後も現実的に想定する時代になれば話は変わります。

1,500万円なら、5年と7年の違いだけで約60万円。

借入額が2,000万円、3,000万円になれば当然インパクトはもっと大きくなります。

そして、今のサロン出店を難しくしているのは金利だけではありません。

物価も上がっています。

賃料も上がっています。

人気エリアでは、以前と比べて坪単価が1.5倍近くになっていると感じる案件もあります。

物価高騰により内装費もかなり上がりました。

同じようなサロンを作っても、以前の1.3倍、内容によっては1.5倍〜1.7倍程度まで膨らむケースもあります。

以前なら1,500万円でできた店舗が、

「見積もりを取ったら2,000万円を超えた」

というのが現実です。

さらに、

美容材料も値上げし、
内装費、家賃、人件費、光熱費、広告費そして借入金利まで上がった。

なのに、

独立の仕方だけ10年前と同じでいいのか?

ここを美容業界全体で考えてほしいと思っています。



借入金利だけではなく、「総支払額」まで見る

ここからもう一つ、大切なお金の話です。

美容師さんやビューティシャンは、

「公庫か銀行のどちらで借入をするのか」

には結構敏感です。

当然です。

ただ、独立の方法によっては、借入以外にも数年間にわたって、

「利用料」
「リース料」
「サービス料金」

などを支払う仕組みがあります。

最近では、

サロンリース型。
出店支援型。
設備込み店舗型。
プラットフォーム型。

など、独立方法そのものがかなり多様になりました。

これは美容師にとって良いことだと思います。

自己資金が少なくても挑戦できたり、面倒な設備準備を任せられたり、それぞれにメリットがあります。

ただし、

「初期費用がいくらか」だけで比較するのは少し危ない。

5年間で総額いくら払うのか。

途中で解約した場合はいくらかかるのか。

契約終了時に何が残るのか。

そこまで含めて比較する必要があります。

厳密には、利用料やリース料は借入金利ではありません。

ただ経営者としては、

その仕組みを利用することで、自分の事業から最終的にいくらキャッシュが出ていくのか。

ここを見ることが大切です。

金利は0.1%単位まで比較するのに、サービス契約になると総支払額を計算しない。

これはもったいないと思います。



「契約が簡単」と「総コストが安い」は別の話

手続きが簡単で始められる。

保証金が安い。

内装費がかからない。

これは独立する人にとって大きなメリットです。

ただ、

初期費用が低いことと、事業期間全体のコストが低いことは同じではありません。

これは住宅でも車でも店舗でも同じです。

経営者が見るべきなのは、入口だけではなく出口まで。

契約期間中、総額でいくら払うのか。

途中解約の条件はどうなっているのか。

設備の所有者は誰なのか。

売上をどのように管理するのか。

カード決済会社を自由に選択できるのか。

顧客情報をどう管理するのか。

法人登記はできるのか。

契約終了後、自分に何が残るのか。

ここまで理解した上で、

自分の目的に合ったサービスを選ぶ。

それが大切だと思っています。



今は「なんとなく独立」が一番危ない

そして今、僕が一番おすすめできないのが、

目的のない出店です。

「昔から自分のお店を持つのが夢だった。」

もちろん、その気持ちは分かります。

僕も美容師です。

でも、今は昔とは違います。

「なんとなく30歳になったから独立」

「先輩もこのくらいの年齢で店を出したから」

「自分もそろそろオーナーになりたい」

だけで数千万円の借金をする。

これはかなり危険です。

昔なら勢いで突破できた出店も、今は固定費が重すぎます。

夢が悪いわけではありません。

ただ、

夢を実現するために、夢以外の部分をもっと現実的に考えなければいけない時代になった。


後編では、

「じゃあ今の時代、どんな人なら店を出していいのか?」

契約形態、金融機関からの信用、客単価、付加価値、そして事業計画まで含めて書きます。

THE SALONS Japan株式会社
代表取締役/現役美容師/宅地建物取引士
清水

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