大好きな美容師という仕事を、大好きなまま続けていくために。【後編】
Salons Blog
前編では、
独立した後に待っている借入や固定費の現実。
そして、自分でつくった売上がどういう経路で自分に入ってくるのかまで理解することが、本当の意味での「独立」ではないか。
そんな話を書きました。
今回はその続きです。
THE SALONSの賃料は、
坪単価や㎡単価だけでは見えないものがあります。
THE SALONSの区画を見て、
「坪単価にするといくらだろう?」
「この広さでこの賃料はどうなんだろう?」
そう思われる方もいると思います。
もちろん、物件を比較するうえで広さや坪単価を見ることは大切です。
僕自身、沢山の物件を見てきたからこそ、坪単価や賃料条件を比較する重要性は理解しています。
ただ、THE SALONSの場合は、ぜひ「自分のお店を持ち、運営するために必要な総コスト」で比較していただきたいと思っています。
賃料には、電気・ガス・水道などの光熱費、Wi-Fi、レンタルタオル月300枚までが含まれています。
さらに、
廊下、
お客様の待合スペース、
スタッフ休憩室、
トイレ、
ボイラー室など、
サロン運営に必要なスペースは共用部として用意しています。
一般的なテナントで同じ環境をつくる場合、施術スペースだけを借りればいいわけではありません。
それらの共用スペースまで自分の店舗として確保する必要があります。
すべてを面積として按分して考えると、THE SALONSの専有区画に対して、一般的な実店舗では約2.5倍程度の広さが必要になるケースもあります。
だから、単純な坪単価だけでは、本当の比較はなかなかできません。
たまに、
「ここ、坪単価高くないですか?」
と聞かれます。
もちろん計算すること自体は大事です。
でも、その数字だけを見て、
共用部、光熱費、設備、タオル、初期投資、借入返済を全部無視する。
それは比較というより、都合のいい数字だけを拾っているだけです。
美容師はカラー剤1本の原価には細かいのに、物件になると急に感覚派になることがあります(笑)。
「ここ、雰囲気いいからいけそう。」
いや、経営は雰囲気では返済できません。
大切なのは、借りられるかではなく、長く払い続けられるか。
そこまで考えるのが経営だと思っています。
そして、「個室だから本当の独立」でもない。
ここも、美容師には少し知っておいてほしい話です。
最近は、ドア付き完全個室のシェアサロンや、独立支援型のサービスも増えました。
見た目だけを見れば、
「自分のお店を持った」
ように感じると思います。
もちろん、そういう働き方を否定するつもりは全くありません。
初期費用を抑えられるし、経営の第一歩として良いサービスでもあります。
でも僕が思うのは、
ドアが付いていることと、独立した店舗事業者であることは同じではない。
ということです。
美容室として営業するのであれば、美容所として必要な開設手続きや、構造設備について保健所等の確認を受けることが必要になります。
そして、個室ごとに独立した美容所として扱うのであれば、それぞれが自治体の定める構造設備基準などを満たす必要があります。
必要な面積や設備基準を満たしていなければ、
「じゃあドアを付ければ自分のお店ですね」
という単純な話ではありません。
ここは美容師が意外と知らないところです。
僕が大事だと思っているのは、「保健所の確認」と「賃貸借契約書」。
独立を考える時に、僕が非常に重要だと思っているものがあります。
それが、
自分が開設者となる美容所としての行政上の手続きと、自分が事業者として締結する賃貸借契約です。
世の中には、
「利用契約」
「施設利用契約」
「業務委託契約」
など、様々な形があります。
これも決っして悪いわけではありません。
ただ、
賃貸借契約で店舗を借りていることと、施設の一区画を利用する契約は、契約上の立場が同じではありません。
僕はここを美容師に理解してほしい。
ドア付きの立派な個室で、
名刺に「サロンオーナー」と書いて、
Instagramに「独立しました」と投稿する。
でも契約を見ると施設利用契約。
保健所上も自分自身が独立した美容所の開設者ではない。
さらに契約内容や施設側のルールによっては、その場所を本店所在地として法人登記できないケースもあります。
それでも働くことはできます。
個人事業主になることもできます。
ただ僕がTHE SALONSで考えている「真の独立」は、もう一段先です。
見た目だけの独立ではなく、法律上も、行政上も、金融上も、一人の店舗事業者として認められること。
ここまでいって初めて、僕は本当の意味で「自分のお店を持つ」に近づくと思っています。
少しエッジのある言い方をすると、
ドアを閉めたからサロンオーナーになれるわけではありません。
大事なのはドアより、契約書の中身です。
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なぜ、そこまで契約形態にこだわるのか。
理由は、その美容師の「次」にあります。
今は一人で働く。
でも将来、
- 法人化したい。
- スタッフを雇いたい。
- 融資を受けたい。
- 2店舗目を出したい。
- THE SALONSを卒業して路面店を出したい。
そう考えた時に、
それまで自分がどんな形で事業をしてきたのかが重要になります。
金融機関に融資の相談をすれば、
どこで営業しているのか。
どういう契約で店舗を使っているのか。
必要な営業上の手続きをしているのか。
どれくらい売上と利益を積み上げてきたのか。
そういう「事業の実態」を見られます。
だからTHE SALONSでは、単に美容師を個室に入れて終わりにはしたくない。
自分の店舗を持ち、
自分の契約を持ち、
自分の売上をつくり、
自分の信用を積み上げていく。
その先で、日本政策金融公庫を含めた金融機関への相談や紹介、次の出店への後押しができる。
これが、僕たちが考えている「美容モール」という仕組みの大きな意味です。
「個室があるから美容モール」ではありません。
そこにいる一人ひとりが、ちゃんとした店舗事業者として育っていく。
そこまで含めてTHE SALONSだと思っています。
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そして何より大きいのが、
「独立するまでにかかるお金」です。
THE SALONSは、すでに美容室として営業するための設備や環境が整っています。
そのため、
大きな内装投資を抑えられる。
借入もいらない。
毎月の返済負担も無い。
独立にかかる初期コストを圧倒的に小さくすることができます。
何千万円かけてつくったお店なら、その投資を回収するまで続けなければなりません。
最悪なのは、店舗の契約は終わったのに借金だけ残るパターンです。
でも、そのお金、本当に「箱」に使う必要があるの?
もちろん、内装にこだわることを否定しているわけではありません。
美容師は空間をつくるのが好きです。
ただ、
壁に500万円。
床に300万円。
造作に数百万円。
そして数年後には原状回復。
美容業界、不動産業界、内装業界で一番儲かっているのは誰なんだろうと思う瞬間があります(笑)。
そのお金を、
集客に使ってもいい。
新しい技術を学ぶために使ってもいい。
スタッフに還元してもいい。
家族との時間や旅行に使ってもいい。
将来のために残しておいてもいい。
美容師として稼いだ大切なお金を、もっと自分の人生のために使ってほしい。
僕はそう思っています。
「やめられる」ということも、自由のひとつ。
THE SALONSをつくるうえで、もう一つ大切にしていることがあります。
もし独立してみて「自分には違った」と感じたときに、戻るという選択肢を持てること。
独立は、一度したら絶対に続けなければいけないものではありません。
経営より現場だけに集中したいと思うかもしれない。
生活環境が変わるかもしれない。
美容師として目指すもの自体が変わるかもしれない。
人生は変わります。
でも美容業界には、
「一度独立したら雇用には戻れない」
「店を畳んだら失敗」
みたいな空気があります。
別に戻っていいと思います。
店を閉めたっていい。
働き方を変えたっていい。
経営が向いていないと分かることも、立派な経験です。
むしろ、向いていないのに借金だけを理由に10年続ける方がしんどい。
挑戦できることと、戻れること。
その両方があって、本当の自由だと思うんです。
実際にTHE SALONSには、若い美容師さんだけではなく、年配の美容師さんからご相談をいただくこともあります。
「最後の美容師人生を、自分のお店で、自分のペースで過ごしたい。」
そう言ってTHE SALONSを選んでくださる方もいます。
長年、美容師として走り続けてきた方が、最後は数字やスタッフ管理に追われるのではなく、大切なお客様とゆっくり向き合いながらハサミを握る。
僕は、そんな美容師人生もすごく素敵だと思っています。
「お店をつくること」がゴールではありません。
立派な内装をつくることでも、
大きなお店を持つことでも、
何店舗も展開することでもない。
もちろん、それを目指す美容師さんがいてもいい。
僕自身、経営者としてサロン展開をしてきたので、その面白さも分かります。
でも、みんなが同じゴールを目指す必要はありません。
売上100万円を目指す人がいてもいい。
会社を大きくしたい人がいてもいい。
スタッフを100人抱えたい人がいてもいい。
逆に、
週4日だけ働きたい。
家族との時間を増やしたい。
大好きなお客様だけ担当したい。
70歳まで自分のペースでハサミを握りたい。
それも立派な成功です。
美容業界は、
店舗数。
スタッフ数。
月商。
フォロワー数。
このあたりを大きく見せるのが好きです。
もちろん数字は大切です。
でも、人生の幸福度までは数字にはできません。
10店舗経営して毎日胃が痛い人と、
1人サロンで週4日働いて家族と笑っている人。
どちらが成功かなんて、本人にしか分かりません。
僕がTHE SALONSでつくりたいのは、美容師一人ひとりが、自分にとっての幸せを選べる場所です。
だから、THE SALONSを検討するときには、坪単価だけではなく、
初期投資はいくら必要なのか。
借入はいくら必要なのか。
毎月いくら返済するのか。
どんな契約を結ぶのか。
自分は美容所の開設者なのか。
その投資を回収するまで何年必要なのか。
そこまで含めて比べてみてほしい。
THE SALONSが提供したいのは、単なる「美容室の場所」ではありません。
大きな借金をせず、身軽に、それでも一人の店舗事業者として自分のお店を持てるという選択肢です。
美容師人生を、仕事だけで埋め尽くさなくてもいい。
独立したからといって、人生まで仕事に縛られてほしくない。
お客様を大切にする。
家族との時間も大切にする。
休みたいときには休む。
旅行にも行く。
そして、また笑顔でサロンに立つ。
そんな働き方があってもいい。
むしろ、美容師はもう少し休んでいいと思っています。
「忙しい=売れている=偉い」
みたいな価値観も、そろそろ卒業していい。
予約表がいっぱいでも、気持ちがいっぱいいっぱいだったら意味がありません。
これまでこのブログでは、少し厳しいことも書いてきました。
でも、その全部の目的は同じです。
美容師がもっと自由に、もっと長く、もっと幸せにこの仕事を続けられるようにすること。
経営、金融、不動産を学ぶ。
最終的には、大好きな美容師という仕事を守るためです。
ゆっくりと、自分のペースで美容師人生を楽しもう。
20代の挑戦にも、30代・40代の次のステージにも、そして最後の美容師人生にも。
THE SALONSが、その人らしくハサミを握り続けられる場所でありたいと思っています。
「自分のお店を持つ」という夢を、もっと身近に。
独立を、もっと自由に。
そして、大好きな美容師という仕事を、大好きなまま続けてほしい。
それが、僕がTHE SALONSに込めている思いです。
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THE SALONS Japan株式会社
代表取締役/現役美容師/宅地建物取引士
清水 秀仁