美容師にとって「共同経営」はアリ?──“誰と組むか”で美容師人生が変わるリアルな話。Vol.9
Salons Blog
こんにちは。THE SALONS Japan代表の清水です。
これまでのブログでは、「美容師の独立スタイル」「美容業界のシステム」「路面店出店の“光”と“影”」「美容師の金融知識」
をお伝えしてきました。
どれも「美容師が自由に働き続け、自分の美容師人生を自分で選べるために必要な知識」でしたが、
今回のテーマはまた少し新しい角度。
それは、
“人と組むという選択肢、つまり共同経営” について。
美容師が独立を考えるとき、
まず「1人オーナー」か「フリーで自由に」か、という二択になりがちです。
ですが近年は、実はもうひとつ独立の形が増えています。
それが、“共同経営”。
とくに今は、
SNSで価値観を共有した同士がつながり、
「この人となら一緒にやれそう」「2人で店を出した方が強くない?」
という自然な流れから共同経営が生まれるケースが多くなっています。
価値観が合う同士での共同経営は、
最高のパートナーシップにもなれば、
ときに地獄への入口にもなる。
だから今回は、少し丁寧に、少しウィットも交えながら、
「美容師にとって共同経営はアリなのか?」
そのリアルをお話しします。
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■ まずは“共同経営のメリット”から。
① 役割分担ができて負担が軽くなる
独立すると、美容師は突然 “全部屋さん” になります。
技術者、接客担当、経理、SNS広報、仕入れ担当、クレーム対応、オーナー業…。
これを1人で背負うのは正直かなり重い。
その負担を2人で分けられるのは、共同経営の圧倒的なメリットです。
お互いの“得意”と“不得意”を補い合えること。
これが共同経営の一番の強みです。
② 精神的な孤独が減る
オーナーはとにかく孤独です。
日々の判断や責任の重さは、想像以上のプレッシャー…。
そこに「これどう思う?」と相談できる相手がいること。
これが共同経営の大きな精神的メリットです。
③ 資金・信用・金融に強くなる
共同経営者がいることで、
・開業費の負担分散
・事業計画の説得力
・融資審査での信用力
が大きく向上します。
特にTHE SALONSのように
区画単位で事業用の正式な賃貸借契約が取れる独立モデル
では、金融機関との相性が非常に良く、
共同経営のメリットがその後、より明確になります。
④ 将来の成長が描きやすい
1人ではキャパに限界がありますが、2人なら
・サロンズで2区画への拡張
・法人化
・路面にて多店舗展開
などの未来が具体的に見えます。
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■ 次に、共同経営の“落とし穴”も。
① 方向性のズレは致命的
技術の好み、店舗の世界観、料金設定、働き方の価値観――
ここにズレがあると、小さな違和感が大きな軋みに変わります。
美容は“人”の仕事。
価値観のズレはまっすぐ関係性に響きます。
② 役割・責任が曖昧だと必ず揉める
勢いと仲の良さだけで始める共同経営。
これは本当に危険です。
• 誰が何を担当するか
• 最終決定権はどちらか
• 売上・経費の分配
• 辞めたい時のルール
これを曖昧なまま始めると、遅かれ早かれトラブルが訪れます。
③ モチベーションの差がダメージになる
美容師は情熱と感性の仕事。
やる気が大きく上下することもあります。
片方のモチベーションが落ちた時、
もう一方に負担が集中して崩壊するケースはよくあります。
④ 意思決定スピードが落ちる
2人の合意が必要なので、決断のスピードはどうしても遅くなりがち。
今の時代の美容業界では「速さ」はかなりの武器です。
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■ ここで今回の一番大事な話。
「美容師は個人売上が高い=偉い」は、経営では通用しない。
美容業界独特の文化として
「売上が高い人ほど偉い」
という価値観があります。
個人売上が高いのは素晴らしいことです。
でも共同経営や会社経営に入った瞬間、
その価値基準はまったく別物になります。
■ 経営者の報酬は “売上” では決まらない
本来、役員報酬は
• 負っているリスク(特に連帯保証)
• 担っている責任範囲
• 経営判断の重さ
これらを総合的に判断して決められるべきものです。
美容室における最大のリスクを背負うのは、
ほぼ間違いなく 代表(社長)=連帯保証人。
借入、契約、設備投資、退去費……
すべて最終的に社長が責任を負います。
だから社長が売上も高くてリスクも最大なら、
その報酬に誰も異議はありません。
ただし共同経営者が
「売上が高いから報酬も高いはず」
という“美容師思考”のままだと、
共同経営はうまくいきません。
共同経営とは、
“売上の世界”から“経営の世界”へ視点を上げること。
ここが揃わない相手とは、
どれだけ仲が良くても破綻してしまいます。
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■ 共同経営を成功させるための必須ルール
• 売上=偉さ の価値観を捨てる
• 役員報酬は “リスク×責任×貢献度” で決める
• 役割と責任範囲を明確に
• 最終決定権を決める
• 契約書で全てを明文化
• 経営・数字・契約の知識レベルを揃える
特に「知識レベル」。
これが揃わない共同経営は、高確率で破綻します。
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■ THE SALONSと共同経営は相性が良い理由
THE SALONSは、
共同経営を“試したい”美容師にとって非常に相性のいい環境です。
理由はシンプル。
透明性が高く、正しく事業ができ、
もし相性が合わなければ低リスクで終了できるから。
• 事業用賃貸借契約
• 保健所登録
• 法人登記
• 金融に強い契約構造
• コスト構造が明確
• 売上管理の透明性
• 相性が合わなければ柔軟に終了可能
共同経営の一番難しい“曖昧さ”を排除できるのがサロンズです。
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■ 結論:共同経営はアリ。
ただし「ノリと勢い」では絶対に始めないこと。
共同経営は未来を大きく広げてくれる選択肢です。
しかし、準備と認識を誤ると未来を奪うリスクにもなります。
最後に一言でまとめるなら、
共同経営はアリ。
でも、“売上=価値”という世界観のままの人とは絶対に組まないほうがいい。
共同経営とは、
売上勝負の世界から
“経営・責任・リスク・価値観の共有”という次のステージへ進むこと。
この視点を共有できる相手となら、
共同経営は最強で、最も成長を加速させる選択肢になります。
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The Salons Japan株式会社
代表/現役美容師/宅地建物取引士
清水 秀仁
























