小さなサロンの、でっかい挑戦。 ~失敗から生まれた僕の働き方~第2話 悔し涙が僕を変えた Vol.5
Salons Blog
第2話 悔し涙が僕を変えた
スタッフの売上が伸びてきた頃、ひとつの決断を迫られた。
「売上あるなら、独立した方がいい」。
そんな空気がサロンの中に広がり、スタッフが辞める方向へ動き出した。
そこから、投資家との意見のズレが徐々に表面化していく。
経営の方向性、事業の伸ばし方、サロン運営の理念…。
少しずつ、少しずつ、歯車が噛み合わなくなっていった。
やがて避けられない結論へ。
契約解消、そして廃業。
美容室・ネイルサロンの廃業率は驚くほど高い。
美容室やネイルサロンの廃業率は、1年以内に60%、3年以内に90%、10年以内には95%が閉店すると言われています。
(引用:https://rsvia.co.jp/column/salon-closure-rate/)
そう考えると、僕のサロンは4年持った。
でも実際は、投資家のサポートがなかったら2年もたなかったと思う。
この場を借りて言いたい。
投資家の皆さん、本当にありがとうございました。
あの経験がなかったら、今の僕は確実にいない。
廃業が決まり、僕は想像していなかった道に戻ることになった。
フリーランス美容師。
前回の失敗を絶対に繰り返さないため、サロン選びは徹底した。
- 歩合率よりも “サロンの世界観・雰囲気”
- お客様を迎える レセプションの有無
- 一緒に働く美容師さんの 年齢層
- 会社の 経営体質と信頼性(前のサロンはあの後すぐに廃業していた…)
- 店全体の空間の居心地
とにかく、
「長く安心してお客様をお迎えできる環境」 を最優先に判断した。
急な廃業で、直接伝えられなかったお客様も多くいた。
そこで急いで簡単なホームページを作り、
“高原卓玄”と検索すれば僕の現在地が分かる仕組み を用意した。
すると本当に、多くのお客様が検索で僕を探して来店してくれた。
あの時わざわざ調べて来てくださったお客様には、今でも心から感謝している。
◆ Web予約を知らなかった頃の僕は、“お客様の自由”を奪っていた
フリーランスに戻って半年。
ここでまた、しくじりにぶつかる。
当時の予約手段は 電話とLINEだけ。
お客様は希望日をLINEで送り、僕の返信を待つ。
でも施術中は返せないし、電話にも出られない。
その間、お客様は
- 「友達との待ち合わせが決められない」
- 「その後のネイル予約も入れられない」
- 「他の予定すら組めない」
というストレスを抱えていた。
完全に“お客様目線”が欠けていた。
そこで Web予約の導入を決めたが、当時はフリーランス向けの予約システムがほぼ存在しなかった。
某Web予約会社に無理を言って、フリーランス向けにシステムを改良してもらい、導入に成功した。
本当にありがたかった(泣)
導入後は予約導線が一気にスムーズになり、 お客様のストレスはゼロに。
◆ 大手集客サイトの予約機能に依存したら、自由はなくなる
大手集客サイトの予約機能も検討した。
でもひとつ気づいた。
一度お客様が大手集客サイトで予約し始めると、美容師が“辞めたくても辞められない状態”になる。
- アプリの通知
- ポイント
- 使い慣れたUI
これらは“習慣”となり、美容師側が導線を変えられなくなる。
つまり、お客様はプラットフォームに残り、美容師だけが縛られる構造。
これが、当時の僕には本当に怖かった。
◆自社ホームページは“武器”。導線を自分で持つべきだ
業界全体を見ても、自社ホームページはまだ十分ではない。
サロン独自のホームページ保有率は 67%。
つまり 3分の1のサロンは自社サイトがない。
(引用:https://www.mrs.co.jp/digmar/2025/01/20/7375/?utm_source=chatgpt.com)
これはつまり、
美容業界全体がまだ“プラットフォーム依存”に縛られている ということ。
僕は、自分の働き方とお客様を守るために、自社ホームページとWeb予約の導線を自分で持つ必要があると確信した。
◆ そして最後の“しくじり”が、僕を決定的に変えた
「もっとちゃんとしたホームページを作ろう」と考えていた頃、お客様から
「この子、独立したばかりで頑張ってるから、もしホームページ作るなら応援してあげて」と若いエンジニアを紹介された。
信頼するお客様の紹介だったので、安心して依頼した。
しかし──
全額前金20万円を振り込んだあと、連絡が一切取れなくなった。
完全にやられた。
紹介してくれたお客様も同じく騙されていた。
当時の僕にとって 20万円は本当に大きかった。
お店を畳んだ直後で余裕もなく、
精神的にも立ち上がったばかりの時期だった。
だからこそ、悔しくて、情けなくて、家族にも申し訳なくて…
あの20万円の重さが、胸にずっと残った。
原宿警察署に相談に行った際、
「ホームページ制作で全額前金は詐欺を疑うべきです」
とお叱りも受けた。
その日の帰り道、心に誓った。
ホームページは、もう人に任せない!
絶対に自分で作る!
そこからは、とにかく寝ずに、寝ずに、寝ずに勉強した。
詳しいお客様にも聞き、ネットで調べ、美容師仲間にも教わり、本気で“根性だけ”で知識を身につけていった。
どうにか自分でホームページを作り上げた。
そしてそのスキルが、後に自宅サロンの爆発的な新規集客の武器 になる。
◆失敗は、僕を潰さなかった
失敗は、僕を強くしてくれた。
悔し涙も、怒りも、落ち込みもあった。
でも全部、今の僕の働き方の“土台”になっている。
失敗から学ぶ。
それが、僕の働き方を作った。
























