小さなサロンの、でっかい挑戦。 ~失敗から生まれた僕の働き方~ vol.19
Salons Blog
第3話
集客から逃げた僕と、“韓国語”という武器
オシャレでもない。
かっこよくもない。
でも、僕の想いだけは詰め込んだ、手作りのホームページ が完成した。
正直、プロが見たら笑うかもしれない。
デザインも洗練されていない。
UIも今思えばツッコミどころだらけ。
それでも、僕はこのホームページが好きだった。
◆ このホームページで“集客できない”ことは分かっていた
原宿美容室
表参道ヘアデザイナー
原宿カットうまい
原宿パーマ
どれで検索しても、敵が多すぎる。
僕は、カリスマ美容師でもない。
インフルエンサーでもない。
「高原卓玄」という名前で
新規集客をするのは正直、厳しい。
でも当時の僕には、
すでに通ってくれているお客様がいた。
多くはないけれど、
マンツーマンでやるには十分な人数。
だから思ってしまった。
「集客なんて、しなくていい」
──甘かった。
これが、また一つの"しくじり"だった。
◆ マンツーマン美容師の“静かな失客”
マンツーマンでやっていると、
予約は一見、埋まっているように見える。
でも、よく見ると少しずつ変化が起きていた。
・出産
・引っ越し
・転職
・転勤
理由はさまざまだけど、
毎年10%前後、自然にお客様は減っていく。
もちろん紹介もあった。
でも、それだけでは失客は止められなかった。
予約がなくなったわけではない。
でも、以前ほど先まで埋まらなくなっていた。
気づいたとき、背中に冷たいものが走った。
「このままじゃ、ダメだ」
◆ 特化型美容師ブームと、僕の違和感
当時、業界では特化型美容師が増え始めていた。
・ショートカット専門
・ブリーチ得意美容師
・髪質改善美容室
・メンズカット専門
確かに、分かりやすい。
集客もしやすい。
でも、僕はどうしても乗れなかった。
ショート専門?
→ いや、ロングも自信ある。
カラー特化?
→ 俺はカラーだけのために美容師になったんじゃない。
何よりも、
今まで信頼して通ってくれているお客様に、誤解されたくなかった。
「俺は、たくさんのお客様を笑顔にするために
時間も、家族との時間も、睡眠も削って
技術・知識・スキルを磨いて、どんな要望にも応えられるように、学んできた!」
何か一つに絞れば、
集客はできたかもしれない。
でも、したくなかった。
頑固美容師である(笑)
◆ どうする、高原。終わるのか?
考えろ。
高原、考えろ。
このまま終わるのか?
俺に何ができる?
どうすれば集客できる?
……そして、ひとつの答えに辿り着いた。
これだ。韓国語だ。
◆ 技術特化じゃない。俺には“韓国語”がある
僕は在日韓国人三世として生まれ、
祖父の強い想いから民族学校に通った。
そこで学んだのが、韓国語だった。
技術特化美容師じゃない。
カリスマでもない。
でも、韓国語が話せる原宿の美容師なら、俺は唯一無二だ。(当時はそう思っていたw他にも韓国語が話せる原宿美容師は沢山いるのに…)
日本に住む韓国人。
日本に旅行に来る韓国人。
特に旅行客なら、
既存のお客様に迷惑をかけず、
空いている時間に誘導して来てもらえる。
これは、いける。
◆ やることは2つだけ
① 韓国語のホームページ・SNSを作る(SEOで引っ掛かるように)
② 韓国語を、もう一度ちゃんと学び直す
◆ “ござる美容師”だった俺
ここで、ひとつ忘れられない思い出がある。
今から17年ほど前。
店長時代、日本のカット技術を教えるため
代表と一緒に韓国の美容室へ講習をしに行った。
代表は通訳を通して講習進めた。
でも僕は思った。
「俺は韓国語が話せるから代表の半分の時間でセミナーを進められる」
学生時代に学んだ韓国語に自信があった。
通訳を使わず、
日本のカットを韓国語で説明しながら進行した。
(俺、カッコいい…)
受講生の韓国人美容師たちはニコニコしながら見ている。
やがて、そのニコニコが笑いに変わった。
(あれ?めっちゃウケてる?俺イケてる!)
……でも、様子がおかしい。
セミナー後、通訳の方から言われた。
「高原さんの韓国語、ちょっと古くて…
例えるなら“語尾が全部ござる”みたいな感じです」
つまり僕は、
「この角度で切るで"ござる"」
「違う違う、こう切るで"ござる"よ!」
と言いながら講師をしていたらしい。
受講生の笑いの理由は、そこだった。
2日目は、素直に通訳を通した。
韓国語が話せる(自称)からと、僕を連れてきてくれた代表の想いを、しっかり裏切った。
苦い思い出だ(笑)
◆ だから、もう一度“本気で”学び直した
だからこそ、
韓国語を武器にするなら中途半端は嫌だった。
韓国ドラマを見まくり、
時間をみて韓国の友達とご飯に行きまくって、
とことん学び直した。
◆ ホームページとSNSは、当たった
結果は、明確だった。
日本に住む韓国人(#일본살이)
日本に旅行に来た韓国人(#일본여행)
たくさんのお客様が来てくれた。
そして、ある日。
思いがけないことが起きた。
突然、韓国の美容室から連絡が来た。
「君は韓国語が話せるのか?」
「君のサロンは原宿にあるのか?」
「韓国では今、日本のカット技術を学びたい美容師が多い。ぜひ、教えに来てくれないか?」
──世界が、広がった。
まさか、
集客のために始めたホームページとSNSが、
韓国でカットを教える仕事につながるとは思ってもいなかった。
◆ 僕はここで、初めて実感した
ホームページとSNSは、
「集客ツール」だけじゃない。
人生を広げるツールだ。
※ここから韓国の美容室と技術講師契約を結び、年に6回渡韓して講習を行うことになる。
この経験が、やがてHapill ouchi salon 出店、THE SALONS につながり、
「仕組みを作る側」に回る決意へと変わっていく。
























