売上があるのにお金が残らない美容室オーナーへ 美容室オーナーの経費はどこまで許される? vol.12
Salons Blog
──「身にまとうブランドや私生活で財務状況がバレる」業界のリアルと、節税と脱税の境界線。
こんにちは。THE SALONS Japan代表の清水です。
最近はKAMIKARISUMA(カミカリスマ)など、
美容業界のアワードや受賞式が続き、SNSも華やかですよね!
ライトに照らされ、盾を持ち、笑顔で写真を撮る受賞者の皆さんを見ていると、
美容師にとって、本当に素晴らしい文化が出来たなー思います。
しかし、その華やかな世界の裏側では、
大変な事態になっている方もいます。
数年前まで輝いていた受賞者が、
いま「お金の問題」で静かに苦戦している現実。
実際に、すでに何人かから会社経営の相談も受けています。
・サロン売上は高いのに、現金が残らない
・SNSはキラキラしているのに、通帳はカラッカラ
・「カリスマ」という肩書きでも、数字の前では無力
・ブランド物は増えても、キャッシュは減る
受賞歴やフォロワー数、バズりは一切関係ありません。
…というか、もっと言うと、10年前の“カリスマ美容室”って、今あなたはいくつ思い出せますか?
華やかさは一瞬で、残るのは結局「キャッシュ」と「信用」です。
経費・節税・キャッシュフローの知識がなければ、
どんなオーナーでも同じ壁にぶつかります。
正直に言うと、
たいがいの美容師はアシスタント時代にかなりの貧乏生活をしてきているので、
いざ稼げるようになった瞬間にこうなる気持ちも、すごく分かります(笑)。
僕もそうだったので。
今回は、美容室オーナーが避けて通れない
「経費のホントとウソ」を解説します。
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■ 美容師は「露骨に分かる、ブランド物で儲かっているのが分かる」職業
これはもう、業界のネタです。
儲かっている人ほど、ブランドロゴが大型化していく傾向…。
巷で何の仕事をしているか分からない人にも、この傾向は多い(笑)。
・胸に ロエ◯がどーん
・帽子は ◯RADAマーク
・◯ALENCIAGA のデカい靴
・財布は ◯ルメス
・さらにスマホケースはLVのモノグラムとか
まるで、
「ブランドの量が決算書を背負って歩いている状態」。
もはやラッパーか美容師か分からない瞬間があります(笑)。
美容師:「利益が出てません。」
税務署:「いやいや、ちょっと待って。」
ここで誤解してほしくないのは、
ブランド品や時計を買う人がダメだと言っているわけではありません。
問題なのは、何も考えずに経費にし、
会社の体力を削り続けてしまうことです。
ブランドで財務状況が透けて見える業界って、美容以外にあります?
怪しい仕事の人には結構多いけど…
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■ 経費や法人カードは「魔法カード」ではない
税務署の判断基準は、ひとつだけ。
「その支出は、仕事に必要でしたか?」
それだけです。
でも、美容師の「必要」には情緒が入りすぎる。
・「◯UCCIのTシャツじゃないと、お客様に失礼だから」
・「◯RADAのパンツは、クリエイティブな仕事ができます!」
・「◯ALENCIAGAのセットアップは作業着です!」
──税務署
「あなたのテンションの話は聞いてません。」
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■ 車は経費になる?
→ 「高級外車ほど疑われる」という現実
仕事で使う割合だけ、経費になります。
※基本的に経費として落としますが注意が必要です。
ただし要注意なのが、
急にお金を持った経営者が好みがちな以下の車種。
・ゲ◯ンデ
・カ◯エン
・ア◯ディ
・◯ンジローバー
・◯ェラーリ
・アスト◯マーチン
・ベ◯トレー
税務署では、
「儲かっている社長さんの車神セブン」として知られているレベル。
税務署:「そのグレード、本当に必要ですか?」
美容師:「世界観です。」
──世界観では突破できない壁があります(笑)。
ちなみに、ここは誤解されやすいですが、
◯ルファードのようにスタッフやお客様を“仕事で乗せられる車”は、かなりOK寄りです。
用途が説明しやすく、記録も取りやすい。
(逆に「ほぼ趣味」っぽい車ほど、説明が大変です)
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■ 家賃はどこまでOK?
→ 「寝室で仕事してる」は永遠にNG
美容師あるある。
「お風呂でサロン戦略を考えてます」
「ベッドで動画編集してます」
税務署:
「あなたの入浴事情も、睡眠事情も知りません。」
自宅兼事務所の場合、
実際に使っている部分だけが経費として認められます。
ただし、かなりグレーゾーンです。
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■ 洋服は?
→ ロゴの大きさ = 否認のスピード
黒T・黒パンツなど、
ほぼ制服ならOK。
でも美容師はなぜか、
「サロンで着れば経費になりやすい」
という壮大な勘違いをする(笑)。
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■ 時計は?
→ 99%経費にならない
美容師が言いがちな理由。
「商談で見られます」
「時間を確認するので必要です」
税務署:
「スマホで見てください。」
ロレ◯ックス、パ◯テック系は、
申請した瞬間に税務調査官たちの空気がざわつくアイテムTOP3。
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■ 飲食代は?
→ 経費にしやすいが、最も疑われやすい
スタッフミーティング、業者との打ち合わせ、採用面談は確実にOK。
しかし、美容師がやりがちなNG。
「友達との飲み会」をすべて“ミーティング”と書く。
税務署は必ず見ます。
・誰と
・何の目的で
・どの店で
・何時に
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■ 海外旅行は?
→ 「視察の証拠」がなければ、ただの旅
※南国の離島などは特に説明が難しい。
美容師:「ハワイの最新カラーを研究しに行きました!」
税務署:「ビーチの写真しかありませんが?」
美容師:「韓国にサロン見学に行きました!」
税務署:「買い物や夜遊びの写真しかありませんが?」
こういうケース、本当にあります。
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■ 節税と脱税の違いは?
とてもシンプルです。
説明できる → 節税
説明できない → 脱税
美容業界には
「みんなやってるから」という謎の共通ルールがありますが、
税務署:
「“みんな”は基準ではありません。」
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■ 税務調査が入った時、美容室はどうなるのか?
あまり語られませんが、現実はかなりシビアです。
美容室が税務調査を受けた場合、
かなりの確率で「課税修正」が入ります。
・経費の否認
・売上の計上漏れ
・プライベート支出の混在
これらが見つかると、
・追徴課税
・延滞税
・内容次第では 重加算税
まで一気に進むケースも珍しくありません。
特に、
「なんとなく経費」
「みんなやってるから大丈夫」
この考え方は、
税務署から見て一番危険なゾーンです。
税務調査は
潰しに来るものではありませんが、
説明できない経営には容赦がない。
調査後に残るのは、
減ったキャッシュの通帳と崩れた資金繰り。
数年分の精神的ダメージと落ちた社会的信用
という現実です。
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■ 会社にキャッシュ?個人にキャッシュ?正解はどっち?
結論。
◆ サロンを長持ちさせたい → 会社にキャッシュ
◆ 生活・家庭の安定重視 → 個人にキャッシュ
ただ現実は、
・ブランドを買いすぎ
・役員報酬が高すぎ
・無駄な経費が多すぎ
・会社の現金がスカスカ
こういう状態に陥る美容室が、本当に多い。
特に美容師オーナーは、
売上が落ちても、財務状況が悪くなっても、
生活水準をなかなか落とせず、
散財を続けてしまうケースが割と多い。
ブランドロゴは増えるが、サロンは徐々に弱っていく。
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■ 最後に:本当に強いオーナーは「持っているブランドの量」ではなく「数字」で勝つ
美容師は感性の職業だからこそ、
経費も「感覚」で処理しがちです。
でも本当に大事なのは、
・その支出の根拠
・残るキャッシュ
・数字の意味
・税務リスク
・会社の体力
ブランド品や車で勝負する時代は、もう終わりました。
ブランドの量より、数字。
感性より、戦略。
勢いより、キャッシュ。
あなたのサロンの未来を守るのは、
ロ◯ックス、ベ◯ツ、プ◯ダではなくキャッシュと信用と決算書ですよ。
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The Salons Japan株式会社
代表/現役美容師/宅地建物取引士
清水 秀仁
























