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バズっても不安な理由。特化美容師が抱える“キャリアのリスク”。── “バズる技術”の裏で静かに進む、美容師の淘汰と未来のリスク。Vol.10

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こんにちは。THE SALONS Japan代表の清水です。

これまでのブログでは、
独立スタイル、縛りの構造、路面店の罠、金融と融資の本質、共同経営のリアル
をお伝えしながら、

「美容師が本当の意味で自由に働くために必要な知識」

をまとめてきました。

今回は、“技術”の話です。
もっと言えば、
現代の美容師が陥りやすい「特化技術バブル」の危険性について。

今の美容業界では、

・特化技術
・特化メニュー
・SNS映えするスタイル

に極端に寄せた働き方が流行しています。

もちろん、これは決して悪いことではありません。
むしろ素晴らしい。
特化技術がきっかけで売れたりバズったりするのは、いまの時代ならではのチャンスです。

しかし僕は、
その裏側にある“大きな心配”を、今だからこそ伝えたい。

■ “特化技術バブル”は、永遠には続かない。

ブリーチ特化、特殊カラー特化、髪質改善特化、縮毛矯正特化…
SNSで人気の美容師ほど、この領域にいます。

若い世代を中心に需要は確かに高い。
単価も上がるし、バズれば一気に予約が埋まります。

ただし、ここには大きな落とし穴があります。

① 技術やメニューには必ず「賞味期限」がある

今、ブリーチや特殊カラーが流行っているからと言って、
5年後10年後も同じボリュームの需要がある保証はどこにもありません。

技術って“廃れる”んです。
メニューも、どれだけ人気でも“飽きられる”。
そして美容の世界は、必ず次のブームが生まれる。

だから、特化だけで突っ走るのは“ハイリスク”。
例えるなら、

“自分の未来を、ひとつのブームに丸投げしてるようなもの”。

バズるは武器。
でも“自分の軸”は別で持っておくのが、長く売れ続けるコツです。

② 競合が一気に増える

特化技術は“参入ハードルが低い”。
ある程度やり方が広まると、誰でも名乗れるようになります。

・「◯◯特化美容師」
・「◯◯専門サロン」

肩書きが乱立し、お客様の選択肢が増えすぎる。
その結果、

新規客が取れない → 単価が落ちる → リピートが安定しない

という未来が必ず訪れます。

③ 客層の年齢が上がれば、自然と失客する

ブリーチや特殊カラーは、
年齢とともに確実に落ちるメニューです。

今は派手カラーの20代が多くても、
30代・40代になればその比率は確実に減る。

客層が年齢を重ねた時、
特化しすぎている美容師ほど売上が大きく下がります。

■ 特化型サロンの“教育構造”にも懸念がある。

特化メニューだけを提供するサロンでは、
スタイリストが次のような“穴”を抱えたままデビューするケースが増えています。

・カットが弱い
・パーマが分からない
・ブローが苦手
・薬剤知識が偏っている
・幅広い客層への提案力がない

こうした状態でデビューしてしまうと、
その時点で美容師人生が“詰み”に近づきます。

特化でバズった若手ほど、
“伸び代が特化技術の外側に存在しない”ことが多い。

早く売れる・バズる・デビューが速い。
確かにメリットです。

でも同時に、
潰しが効かない美容師が増えている
という現実もあります。

■ 技術は広く、特化は“後から乗せる”ほうが強い。

僕は特化に反対しているわけではありません。
むしろ、特化×SNSは武器として最強です。

ただし、

特化は“基本技術の上に乗る”べき。

これは絶対に伝えたい。

なぜか?
美容師キャリアを支える“土台”は以下だからです。

・カット
・パーマ
・グレイカラー
・ブロー
・基本薬剤知識
・接客マナー
・カウンセリング

これらがあるから、どんな時代でも生き残れる。

特化技術は“武器”であって“生命線”にしてはいけない。

もしその武器が時代遅れになった時、
ゼロから覚え直すのは本当に大変で、
多くの美容師がその段階で挫折します。

だからこそ若いうちに、
特化と同時に“土台の技術”を養ってほしい。

■ 僕が見続けてきた“生き残る美容師”とは?

長年、数えきれない美容師の独立や成長を見てきました。

その中で明確に言えるのは、

「特化」+「オールマイティー」
この両方を持っている美容師が最強。

特化だけは危険。
器用貧乏でも危険。

“土台は広く、武器は鋭く”
これが、これからの美容師に必要な黄金比です。

■ 最後に:今の時代だからこそ、基礎を大切にしてほしい。

SNSのスピードは、
そのまま“淘汰のスピード”でもあります。

だからこそ言いたい。

流行りの技術だけでキャリアを作ると、
流行りが終わった瞬間にキャリアも終わる。

特化と並行して、
オールマイティーな技術と知識を早めに身につけること。

それが、
どんな時代でも“食える美容師”でいられる唯一の方法です。

The Salons Japan株式会社
代表/現役美容師/宅地建物取引士
清水 秀仁

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