Salons Blog

美容師が知らない「金利」と「融資の正解」——金融知識は最大の武器になる Vol.8

Salons Blog

こんにちは。
THE SALONS Japan 代表の清水です。

前回までのブログでは、美容師の独立の形や、路面店出店の“光と影”についてお話ししてきました。
今回は、その続きとして“最も大切なのに、ほとんどの美容師が知らない領域”について深掘りします。

それが、金融・融資・金利の話です。

美容師は技術者であり、クリエイターであり、接客のプロです。
しかし、独立をした瞬間に “経営者” になり、金融の知識が必要になります。

ところが——
私はこの業界で30年以上見ていますが、美容師が金利の基準を知らないことが原因で損をしているケースが本当に多い。

今日は、美容師が絶対に知っておくべき「融資の基礎」と「正しい金融機関の選び方」について、できる限りシンプルに整理してお伝えします。

1.美容師はなぜ “金利” の基準がわからないのか?

美容業界の教育では「技術・接客・礼儀」は学べても、
融資・金利・金融機関の仕組みは一切習いません。

そのため、独立する際に…

  • 金利が高いのか安いのか判断できない
  • そもそも金融機関をどう選べば良いかわからない
  • “審査に落ちても理由が理解できない”
  • 仲介業者・業務委託事業者に言われるまま契約してしまう

こうしたことがよく起きます。

実際、融資を受ける段階で美容師が失敗する最大の原因は、
「比較基準を知らない」ことにあります。

金融の知識がない状態で独立するのは、
地図とコンパスなしで山に登るようなものです。

2.金利とは “借りる能力の評価点”

「安い=正義」ではなく「信用のスコア」

ここで大前提。
金利は「安ければ良い」ではありません。

金利は、「金融機関があなたをどう評価しているか」のスコアです。

  • 信用力が高い → 金利が下がる
  • 経営の透明性が高い → 金利が下がる
  • 賃貸借契約が事業用 → 金利が下がる
  • 財務が整理されている → 金利が下がる

つまり、美容師が金利を下げたいなら、
“自分の信用を積み上げる” 必要があります。

THE SALONSで「区画賃貸借契約」が事業として認められることが、
金融機関から非常に評価されるのはこのためです。

3.どの金融機関を選ぶべきか?

美容師が理解すべき “3つの選択肢”

美容師が独立する際の選択肢は大きく3つです。

① 日本政策金融公庫(国の金融機関)

結論:初回の創業融資は公庫が最強。

  • 金利は約1.5%〜2.5%(時期により変動)
  • 保証協会を通さず借りられる
  • 無担保・無保証で借りやすい
  • 審査は書類重視で透明性が高い

美容師が初めて融資を使うなら、公庫が最も通りやすく、金利も安い。

公庫の強み
• 自己資金が少なくても融資が通るケースが多い
• 借入の返済条件が柔軟
• 美容業界の実績がある(開業例が多い)
※美容師組合加入だと更に金利優遇有り

公庫の弱点
• 追加融資(2店舗目など)で限界が出る
• 金額の上限が低い
• 担当によって審査の解釈がブレることがある

公庫だけでキャリアを終えるのは難しいため、
公庫+後述の金融機関という組み合わせが重要になります。

② 銀行 or 信用金庫(保証協会付き融資)

結論:2店舗目以降は銀行・信金の“保証協会付き”が必要。

金利の目安
• 金利:1.3%〜2.0%
• 保証料:別途0.3%〜1.0%
(保証料を含めると実質金利は1.8〜3%程度)

信用金庫の特徴
• 「地域の事業者」を重視し、面談が丁寧
• 開業初期から取引を続けると強い信用が貯まる
• 担当者との距離が近い(これは本当に大きい)

銀行の特徴
• 大きな融資に強い
• 信用が積み上がると金利が下がりやすい
• 2店舗目・法人化後の拡大に向いている

銀行と信用金庫、どちらをメインにすべきか?

個人事業主の場合

→ 信用金庫が圧倒的に相性が良い。
• 個人事業の小規模融資に強い
• 担当者が話を聞いてくれる
• 税理士・会計士との連携が強い
• 個人の成長を長期的に見てくれる

法人の場合

→ 銀行をメインに育てるべき。
• 大きな投資に強い(2店舗目・3店舗目など)
• 金利が下がりやすい
• 法人の信用を積み重ねると借入枠が広がる

ただし、
最も強い組み合わせは「公庫+信用金庫+銀行」の3本柱です。

4.商工中金は使うべきか?

美容業界では“ケースバイケース”

商工中金は、中小企業の支援を目的とした金融機関です。

  • 大規模融資に強い
  • 金利は銀行と同程度〜やや高め
  • 経営計画がしっかりしていると評価されやすい

しかし、美容師の創業〜2店舗目の段階では、
そこまで優先度は高くありません。

商工中金が活きてくるのは:

  • 3店舗目以上
  • 500〜1000万円以上の設備投資
  • 法人として事業展開するタイミング

この段階に入ったら選択肢として検討する価値はあります。

5.THE SALONSで融資が通りやすい理由

最大の要因は「店舗賃貸借契約を持てること」

一般的なシェアサロンや業務委託契約では、
金融機関が求める“事業用契約書”を提出できません。

そのため:
• 創業融資が通らない
• 融資上限額が低い
• 信用が積み上がらない

といった問題があります。

THE SALONSが金融機関に高く評価されるのは、

• 区画ごとに保健所登録が可能
• 区画ごとに法人登記が可能
• 賃貸借契約が正式な「事業用契約書」として扱われる

という“独立事業者の証明”が明確だからです。

その結果:

• 公庫に強い
• 信用金庫も積極的に支援
• 銀行にステップアップしやすい

という流れが自然に作れます。

6.美容師が知るべき “金融機関との付き合い方”

① 売上の入金口座をまとめる

→ これが銀行の“実力の証明”になる。

② 税理士をつけて決算書の質を上げる

→ 税理士の名前は金融機関が必ず見る。

③ 一つの金融機関と長く付き合う

→ 信用は「年数」で評価される。

④ キャッシュフロー計画を説明できる

→ 美容師でこれができる人はほぼいない=差別化になる。

最後に——

美容師の未来は、“金融を理解した美容師”が変える

美容師は技術のプロですが、
独立した瞬間に 経営のプロである必要が出てくる。

しかし、金融の知識は誰かが教えてくれるものではありません。
知らないまま挑戦すると、

• 金利が高い
• 不利な契約を結ばされる
• 融資が通らない
• 成長のタイミングを逃す

こうしたリスクが現実になります。

私は、美容師がもっと自由に生きられる業界をつくりたい。
そのためには、
美容師が金融に強くなることが欠かせない。

THE SALONSは、
“事業者として認められる”ためのインフラであり、
美容師が金融機関から正しく評価されるための仕組みです。

次の時代は、
技術力 × 経営力 × 金融力
を持つ美容師が主役になります。

融資は怖くない。
知らないことが怖いだけです。

このブログが、あなたの未来の選択肢を増やすきっかけになれば嬉しく思います。

The Salons Japan株式会社
代表取締役/現役美容師/宅地建物取引士
清水 秀仁

Salons Blog の一覧へ戻る

TOPICS

すべて見る

掲載メディア一覧

THE SALONSで
新しい時代の独立開業を